北海道・新ひだか町にある、1919年創業のサラブレッドの総合牧場、本桐村田牧場様。
100年以上の歴史を誇るこの牧場様より、「後世へ繋ぐ、重厚な看板を」という想いを託され、新しい木製看板の製作を承りました。看板には、未来を歩む牧場様の確かな歩みへの想いを込めています。
今回は、その大型木製看板(W1800×H1000)が完成するまでの、私たちの制作過程をご紹介します。
制作過程のご紹介
1. 工程のこだわり:未来へ繋ぐ構造と素材
今回の看板は、縦100cm×横200cmの大型サイズ。まずは、看板土台の板材をクランプでしっかり圧着するところから作業は始まります。

当工房では、木製看板の土台に国産杉材を使用しています。
国産杉は木目が美しく、やわらかな質感を持ちながらも、防腐塗料の染み込みが良く、屋外看板の土台材として非常に相性の良い木材です。
また、杉には「赤身」と「白身」がありますが、腐りやすい白身は使用せず、耐久性に優れた赤身のみを厳選しています。
この赤身材を使用することで、屋外設置の木製看板にも安心してお使いいただける高い耐久性と安定感を実現しています。
2. 工程のこだわり:文字とロゴへの「ひと手間」
看板の顔となる文字とロゴ。木製看板ならではの立体感と温かみを出すため、一つひとつを切り出しました。

文字材には、耐腐食性や寸法安定性に優れた高耐久性天然木材の「ACCOYA®」を採用。未来へ長く受け継ぐ看板にふさわしい素材です。
切り出した文字やロゴには、一つ一つ表面をサンドブラスト作業を行いました。木ならではの風合いを醸し出し、塗料の浸透性も深めています。
この後、防腐塗料の塗装工程に入ります。 塗料が垂れないよう丁寧に筆を運び、一度塗っては乾燥させ、また重ね塗りを繰り返します。—この工程を最低でも5回繰り返します。

また文字の側面はわからないくらいのホワイトグレーの色を塗り分け、視認性を高める工夫をしています。
見た目には気づかれないかもしれませんが、こういうひと手間こそが、仕上がりに大きな差を生むと信じています。
そうして丁寧に塗り重ねた文字とロゴが、重厚な看板に映えます。

ベースとなる土台にも、木の質感と耐久性を高めるため「サンドブラスト加工」を施しました。木目を浮き立たせると同時に、防腐塗料の浸透を良くし、耐久性を高めるという重要な役割も担っています。
切り文字・ロゴの固定方法と耐久性への工夫
当工房の木製看板では、切り文字やロゴ部分の接着に接着剤を使用しています。
さらに、配置を定位置に正確に固定し、接着強度をより高めるため、背面からアルミ製の丸棒(ピン)を差し込む加工を施しています。
この補強によって、長く安心してお使いいただける耐久性を確保しています。
看板を正面から見るだけでは分かりませんが、見えない部分まで丁寧な仕上げを心がけています。

3. 工程のこだわり:長く使える看板のための屋根設計
さらに、この看板を末永く牧場の象徴とするため、私たちは耐久性を追求した設計を施しました。看板本体と両端の柱に「屋根」を設け、雨や風から木材を守っています。
看板の屋根にも、文字材と同じく高耐久性天然木材ACCOYA®を使用しました。

4. いよいよ設置へ:新たな歴史の始まり
魂を込めて作り上げた看板は、熊本からフェリーを乗り継ぎ、約2,000kmの旅を経て、いよいよ北海道の地へ。
そして、牧場のスタッフ様にも温かくご協力いただき、看板の設置が無事に完了しました。皆さんの手で看板が掲げられる様子は、まさに新しい歴史が始まる瞬間です。
「後世へ繋ぐ、重厚な看板」として、この看板がこれから風と光を受けながら、本桐村田牧場様の歴史とともに時を刻んでいくことを願っています。
この度は、ご依頼いただき本当にありがとうございました。


5. 関連情報
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