兵庫県姫路市に鎮座する大塩天満宮様へ奉納される、由緒書き看板の製作をご依頼いただきました。
今回のご依頼は、既存の由緒書きを書かれた方のお孫様から、神社への「寄進」としての製作相談でした。元の看板は長年の設置にともなう日焼けにより文字が消えかかっており、「祖父の書体を残して新しく作り直したい」というご要望を受け、元の筆致を活かした木製看板の復元を行いました。

1. 既存文字のデータ化と仕様の検討
元の筆跡を忠実に再現するため、看板に残っている文字を一つひとつ丁寧にデータ化する作業からスタートしました。かすれて読み取りづらい箇所もありましたが、ご依頼主様と一緒に確認を重ねながら文字の輪郭や筆の運びをトレースしていきました。
データ完成後は事前のサンプルを製作し、ご依頼主様に実際の仕上がり(彫りの深さや塗装の有無による経年変化の違いなど)をご確認いただきました。最終的には、文字の視認性と長期的な耐久性を最優先し、サンドブラストによる「浅彫り」に屋外用の防腐塗料をしっかりと塗布する仕様に決定しました。

仕様検討の際に【無塗装】も候補となりご相談させていただきました。
無塗装ならではの自然な経年変化も魅力的でしたが、今回は文字の視認性と耐久性を最優先し、屋外用防腐塗料を塗布する仕様に決定しました。事前に細かな仕様をすり合わせることで、ご納得いただいた上で本製作に入る形となりました。
その際、お話をさせて頂いた「木材の経年変化とメンテナンス方法」については、こちらの別記事で詳しくご紹介しています。
[リンク:木材の経年変化「シルバーパティーナ」とクリア塗装によるメンテナンスについて]

2. 新しい由緒書き看板の設置
完成した看板は、無事に大塩天満宮様の境内へ設置されました。後日、ご依頼主様から現地に美しく収まった様子のお写真を送っていただきました。
サンドブラスト加工によって一文字ずつ繊細に彫り込まれた表面は、塗料の馴染みが良く、視認性も格段に向上しています。光の当たり方によって木目と文字の陰影が美しく浮かび上がります。

3. 背面への「寄進」名入れ刻印
今回の看板の背面には、寄進としてお孫様やお父様をはじめ、今回のご縁に関係された方々のお名前をしっかりと刻印させていただきました。神社の歴史と共に、皆様の想いが末永く受け継がれていく仕様となっております。
4. 納品を終えて
納品後には、ご依頼主様やそのお父様からご丁寧なお礼のお手紙やお心遣いまで頂戴し、大変お喜びいただくことができました。
お祖父様の文字を次の時代へと繋ぐ大切な看板の製作に携わらせていただき、職人一同、大変光栄に思っております。新しくなった由緒書きが、これからも長く神社を訪れる方々に親しまれることを願っております。
ご依頼いただき、誠にありがとうございました。
【製作データ】
- 納品先:大塩天満宮(兵庫県姫路市)
- サイズ:1340mm × 970mm
- 仕様:既存筆跡のトレース復元(ご依頼主様との共同制作)、サンドブラスト加工(浅彫り)、屋外用防腐塗料仕上げ、背面名入れ刻印(寄進)


